銀行持株会社の業務範囲は以下のものに限定されている(銀行法第52条の21第2項、第52条の21の2第1項)。
- 当該銀行持株会社の属する銀行持株会社グループの経営管理
- 経営管理に附帯する業務
- 共通・重複業務
上記3.の「共通・重複業務」とは、「当該銀行持株会社の銀行持株会社グループに属する二以上の会社(銀行を含む場合に限る。)に共通する業務であって、当該業務を当該銀行持株会社において行うことが当該銀行持株会社グループの業務の一体的かつ効率的な運営に資するものとして内閣府令で定めるもの」とされている(銀行法第52条の21の2第1項)。
その具体的な内容は下記の表のとおりであるが、この共通・重複業務を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣(金融庁長官に権限が委任されている)の認可を受けなければならない(銀行法52条の21の2第2項)。ただし、2021年の銀行法改正により、一部の軽易な業務については、認可は不要となり、届出で足りることとなった(銀行法52条の21の2第2項ただし書、第53条第3項第9号、銀行法施行規則第35条第3項第4号の2、第34条の14の4第2項)。
認可を要する共通・重複業務 | 届出で足りる共通・重複業務 |
① 当該銀行持株会社グループに属する銀行等の資産の運用に係る業務 ② 当該銀行持株会社グループに属する会社のために事業の譲渡若しくは譲受け、合併、会社の分割、株式交換、株式移転、株式交付又は株式等の譲渡若しくは取得に関する交渉を行う業務 ③ 当該銀行持株会社グループに属する会社が信用供与を行おうとする場合における当該信用供与の判断の前提となる審査を行う業務 ④ 当該銀行持株会社グループに属する会社のために電子計算機を使用することにより機能するシステムの設計、開発、運用若しくは保守又はプログラムの設計、作成、販売(プログラムの販売に伴い必要となる附属機器の販売を含む。)若しくは保守を行う業務 ⑤ 当該銀行持株会社グループに属する会社に対する不動産(原則として、事業用不動産に限る。)の賃貸又は当該会社が所有する不動産若しくはそれに付随する設備の保守、点検その他の管理を行う業務 ⑥ 当該銀行持株会社グループに属する銀行等の会社の顧客である事業者等の経営に関する相談に応ずる業務 ⑦ 当該銀行持株会社グループに属する銀行等の顧客である個人の財産形成に関する相談に応ずる業務 ⑧ 法第十条の規定により営む業務に係る商品の開発を行う業務 ⑨ 上記前業務に附帯する業務 | ① 当該銀行持株会社グループに属する会社の役員又は職員のための福利厚生に関する事務を行う業務 ② 当該銀行持株会社グループに属する会社の事務の用に供する物品の購入又は管理を行う業務 ③ 当該銀行持株会社グループに属する会社の事務に係る文書、証票その他の書類の印刷又は製本を行う業務 ④ 当該銀行持株会社グループに属する会社に機械類その他の物件を使用させる業務 ⑤ 当該銀行持株会社グループに属する会社の業務に関する広告、宣伝、調査、情報の分析又は情報の提供を行う業務(当該銀行持株会社グループに属する会社の行う資金の貸付けその他の信用供与に係る債権の担保の目的となる財産の評価、当該担保の目的となつている財産の管理その他当該財産に関し必要となる事務を行う業務を除く。) ⑥ 当該銀行持株会社グループに属する会社の事務に係る計算を行う業務 ⑦ 当該銀行持株会社グループに属する会社の事務に係る文書、証票その他の書類の作成、整理、保管、発送又は配送を行う業務 ⑧ 当該銀行持株会社グループに属する会社と当該会社の顧客との間の事務の取次ぎを行う業務 ⑨ 当該銀行持株会社グループに属する会社の役員又は職員に対する教育又は研修を行う業務 ⑩ 上記前業務に附帯する業務 |